アメリカ大統領選挙、高齢の候補者

 今回のブログの要点・・・今年のアメリカ大統領選挙は候補者が高齢である。そのため、大統領候補になりうる若手の政治家の出番がなくなった。


 今年の十一月にアメリカ大統領選挙がおこなわれます。民主党は現職のバイデン大統領が再選を目指しています。共和党は前大統領のトランプ氏、ベイリー氏、デサンテス氏などが候補者指名を争っています。共和党候補者指名の選出は、アイオワ州で始まり、トランプ氏が勝利しました。しかし、トランプ氏は議会襲撃事件・機密文書持ち出しなどで訴追されており、立候補資格を失う可能性もあります。すんなり、共和党の候補者になるとは限りません。


 これまでの大統領を振り返ってみましょう。


カーター大統領   民主党 
レーガン大統領   共和党 
ブッシュ大統領(父)共和党 
クリントン大統領  民主党 
ブッシュ大統領(子)共和党 
オバマ大統領    民主党 
トランプ大統領   共和党 
バイデン大統領   民主党 


 アメリカでは概ね八年ごとに政権交代しています。そして、現職大統領が強い傾向にあります。おそらく、民主・共和どちらかの政党の大統領でも、二期目の選挙では再選が有望視されるので、相手の党は、ほぼ諦めムード、落選してもやむを得ない候補者を出してくるのではないでしょうか。二期目が終わる四年後の政権交代に期待するわけです。従って、大統領選挙は接戦にはならず一方的な結果になるようです。


 八年前、2016年の大統領選まで遡ってみましょう。民主党のオバマ政権が八年続いたので、民主党としては、共和党に政権が移っても致し方なかったのではないかと想像できます。そこで、2016年の選挙では、民主党は左派系のサンダース氏とヒラリー・クリントン氏が最後まで候補者指名を争って、最終的にはクリントン氏が候補者になりました。結果は共和党のトランプ氏が勝利しました。


 前回、四年前はどうだったでしょう。2020年はトランプ大統領が現職で、二期目に向けて当選が有力でした。そこで、民主党は2020年の政権奪還は諦め、落選してもやむを得ない人、すなわち、高齢のバイデン元副大統領、左派系のサンダース氏、ヒラリークリントン氏などが候補者の座を争い、バイデン氏が候補者になりました。それは、四年後、つまり今年2024年に政権交代を狙っていたのだと思われます。四年後を見据えて、若手の政治家を養成しようとしたのでしょう。
 トランプ大統領は負けるはずのない選挙でした。ところが、バイデン氏が勝利しました。トランプ大統領は、落選必至の民主党バイデン氏に負けてしまったのです。
 私の記憶では、2020年の選挙は接戦で、日本時間の午後3時ごろまではトランプ氏が有利でしたが、夕方にはバイデン氏が優勢になり、翌日になって勝敗が決したのではと思います。


 その結果として、一つには大統領の高齢化が、二番目には若手の台頭が困難だというが問題が生じてしまいました。


 高齢化について言うと、バイデン大統領は81歳、トランプ氏は77歳です。二人とも任期中には高齢者になります。歴代の大統領の就任時の年齢は、共和党のレーガンは70歳でしたが、ブッシュ父子は50~60代。民主党はもっと若く、カーターは50代で、クリントンとオバマは40代でした。1961年生まれのオバマは現在62歳です。トランプ氏とバイデン氏がいかに高齢だと分かります。80歳の大統領では、判断力、行動力に支障が出るかもしれません。2021年のアメリカ人の平均寿命は男性は73・2歳なので、二人ともすでに亡くなっていても不思議ではありません。
 G7各国の指導者はいずれも若くて、マクロン、スナク、メローニは40代、年長者は岸田首相の66歳です。


 若手の出番が失われたという点も見ていきましょう。今回の大統領選挙では、民主党はバイデン大統領が再選を目指すので、50代、60代の若手の候補者を出せません。また、共和党はトランプ氏が返り咲きを狙って立候補するということになりました。候補者指名レースでトランプ氏が有利なので、こちらも若手の候補者の出番はありません。ということで、このままでは、バイデン氏、トランプ氏、どちらが勝っても高齢の大統領になります。若手の政治家が大統領になるのは難しい状況です。年寄りが頑張っていて、若手が伸びてこないという悪循環に陥っています。


 今回の大統領選挙は現職のバイデン氏対前職のトランプ氏という、これまでにない接戦になりそうです。ここまでは、バイデン氏とトランプ氏が候補者になるという前提で書いてきましたが、もしかしたら、両者とも辞退する可能性もあります。バイデン氏は高齢であること、トランプ氏は訴追を受けているので、二人とも出馬できないことも考えられます。


 さて、次の次の、2028年の大統領選挙を考えてみました。ここから先は単なる推測なのですが、民主・共和両党とも世代間の断絶が発生しかねないと思われます。
 アメリカ大統領の任期は二期八年で、これは連続しても、返り咲きでも八年までです。つまり、2024年にバイデン氏か、トランプ氏のどちらかが勝利しても任期は28年までなのです。すると、2028年の選挙では共和党、民主党、いずれも50代、60代の若手の候補を出すと思われます。そこで、若手の大統領が誕生することになります。ここでようやく若手の政治家の出番がやってくるのです。ところが、その場合、民主・共和、敗れた方の政党は、その後の四年間、若手の候補者を養成し続けなくてはなりません。従って、長期にわたって50代、60代の政治家が活躍できないことになるかもしれません。


 ところで、アメリカ大統領選挙の焦点はというと、人工妊娠中絶の是非、銃規制強化、移民などがクローズアップされます。経済政策や国際関係なども議論されてはいるのでしょうが、日本では考えられないですね。