イギリスのクラシック音楽

 イギリスにはクラシック音楽の作曲家が少なかった。ヘンデル、ハイドンの名が上がるのだが、彼らはドイツ・オーストリア出身でイギリスに招かれて音楽を書いた。その後の、モーツァルトからベートーヴェン、ワーグナー、ブラームス、あるいはベルリオーズ、マーラー、ベルディなどの、いわゆるロマン派の時代の作曲家がすっかり抜け落ちている。さらに後になって、ようやく、エルガーやホルストが出てきた。


 ロマン派の全盛期、1870年代に、イギリスでギルバート&サリバンという二人組がオペレッタを数多く作曲した。「戦艦ピナフォア」「ペンザンスの海賊」「ペイシェンス」などが知られているが、どういうわけかクラシック音楽のカテゴリーには入っていない。なので、オペラ劇場では上演されることはないのである。たしかに、これらのオペレッタはアミューズメントパークの余興のようでもある。若い恋人が主役で、それを取り巻く十人ほどの女性、男性が出てきて、最後はハッピーエンドで終わるというパターンだ。


 このところ、オペラを題材にした小説を書いているので、次回作は、イギリスのオペレッタを取り上げてみたいと考えている。